2026-02-12 Coinbase 決算分析
2026-02-12 Coinbase 決算分析レポート
Source: https://s27.q4cdn.com/397450999/files/doc_financials/2025/q4/v2/Q4-25-Shareholder-Letter.pdf
【決算ハイライト】
- Q4'25の総売上高は約17.8億ドル、純売上高は17.1億ドル。前四半期比では減収だが、通期では総売上高71.8億ドルまで拡大した。
- Q4 transaction revenue は9.83億ドルで前四半期比6%減、subscription and services revenue は7.27億ドルで同3%減。
- Q4のGAAP純損失は6.67億ドルだが、Adjusted Net Income は1.78億ドル、Adjusted EBITDA は5.66億ドルを確保した。
- 純損失の主因は、暗号資産投資ポートフォリオで7.18億ドルの損失、戦略投資で3.95億ドルの損失を計上したこと。いずれも評価損の影響が大きい。
- 2025年通期のCoinbase Total Trading Volumeは52,340億ドルに達し、前年比156%増。Coinbaseの暗号資産売買シェアは倍増した。
- 2025年末の現金及び現金同等物は113億ドル。Q4から2026年2月10日までに17億ドルの自社株買いを実施。
- Q1'26は2月10日時点まででtransaction revenue 約4.2億ドルを計上済み。subscription and services revenue ガイドは5.5億〜6.3億ドル。
【セグメント別業績】
| 項目 | Q4'25 | 前四半期比 | 補足 |
|---|---|---|---|
| Transaction revenue | 9.83億ドル | -6% | 市場軟化の影響を受けつつも依然主力 |
| Subscription & services revenue | 7.27億ドル | -3% | USDC、staking、custodyなどが下支え |
| Stablecoin revenue | 3.64億ドル | +3% | Average USDC held / market cap が過去最高 |
| Adjusted EBITDA | 5.66億ドル | 減少 | 依然として黒字を維持 |
| Net loss | -6.67億ドル | 赤字転落 | 投資ポートフォリオ評価損の影響が大きい |
【決算後の株価反応】
- 手元の日足データでは、COIN株は216.95ドル、前日比-2.77%で推移していた。
- 高値222.75ドル、安値215.72ドル、出来高は約1,298万株で、短期的には利益確定売りが優勢だったとみられる。
- ただし今回のレポートでは、厳密な決算当日反応というより、足元の市場評価の参考値として扱うのが妥当である。
【詳細分析】
1. 見た目よりも「収益の質」が問われる決算
CoinbaseのQ4は、売上だけを見ると依然大きいが、前四半期比ではtransaction revenueもsubscription and services revenueも減少している。したがって、今回の決算は単純な成長局面というより、2025年の高ボラティリティ局面を経た後に、どこまで非取引収益で耐えられるかを試された四半期だった。GAAP純損失に転じた一方、Adjusted EBITDAを黒字維持した点は、会社のキャッシュ創出力とコスト調整力がまだ有効であることを示している。
2. 赤字転落は本業悪化ではなく評価損の影響が大きい
Q4の純損失6.67億ドルはインパクトが大きいが、主因は暗号資産投資ポートフォリオの7.18億ドル損失と、戦略投資の3.95億ドル損失である。これは本業トランザクションの崩壊というより、保有資産と投資先の時価変動が会計上のノイズとして大きく出た構図に近い。したがって、投資家はGAAP純利益よりも、Adjusted EBITDAやtransaction revenue、subscription and services revenue の耐久性を優先して見るべき局面にある。
3. 本当の評価軸は「Everything Exchange」の実現性
経営陣は2026年の最優先事項として、Everything Exchange、stablecoins and payments、そして more users onchain を掲げた。特にEverything Exchangeは、cryptoだけではなく、derivatives、equities、prediction markets、commoditiesまで取り込む構想であり、Coinbaseを単なる暗号資産取引所から総合デジタル金融プラットフォームへ再定義する戦略といえる。2025年にCoinbase Total Trading Volumeが156%増え、米国で perpetual-style futures を含むデリバティブ市場シェアが4倍になったことは、この方向性が机上の空論ではないことを示している。
4. StablecoinとUSDCは収益の防波堤として重要性が増している
Q4 stablecoin revenue は3.64億ドルに達し、Average USDC held in Coinbase products は178億ドル、Average off-platform USDC balances は584億ドル、Average USDC market cap は762億ドルまで伸びた。これは金利低下が逆風でも、USDCの残高と利用が広がれば安定収益が維持できることを示している。CFOはQ&Aで、USDC monetization は Circle relationship の利回りだけではなく、Baseやリワード、各種プロダクトを通じて多層化していくと説明しており、ここはCoinbaseの収益多角化の中核である。
5. BaseとDeribitが2026年のレバレッジ要因
Baseは直接には sequencer fees、間接的にはUSDC・Builder・自社プロダクト経由で収益化される。現時点で会社はBase単体の明確な売上予想を出していないが、経営陣の説明からは、Baseをオンチェーン利用の土台として広げ、その上にUSDCや取引・決済を重ねる設計が見える。またDeribit買収により、Coinbaseは options と global derivatives で一気にスケールを取りに行く姿勢を鮮明にした。2026年はこの2つが、取引手数料依存からの脱却と、国際展開の伸び代を測る鍵になる。
【リスクとシナリオ】
強気シナリオ
- 暗号資産市場の出来高回復が続き、transaction revenue がQ1以降も高水準を維持する。
- Deribit統合とデリバティブ拡大が想定以上に進み、Everything Exchange 構想の初期収益化が見えてくる。
- USDC・Base・payments が組み合わさり、subscription and services revenue の比率がさらに高まる。
ベースシナリオ
- 取引収益は市場ボラティリティに左右されるが、USDCとsubscription revenue が下支えする。
- 2026年は大型投資が続くため利益率は伸びにくいが、Adjusted EBITDA は黒字を維持する。
- 株価評価は暗号資産市況と規制進展に左右されつつ、Everything Exchange の実装速度を待つ展開になる。
弱気シナリオ
- 暗号資産相場の失速で取引量が縮小し、transaction revenue が再び大きく落ち込む。
- 金利低下が続き、USDC関連収益が想定以上に圧迫される。
- 規制明確化が遅れ、tokenized equities や international expansion の収益化が先送りされる。
【結論】
CoinbaseのQ4 2025決算は、数字だけ見ると「減収・最終赤字」という見出しになりやすいが、本質はそこではない。今回確認すべきは、取引収益が鈍化する局面でも subscription and services が大きく崩れず、USDCとBase、そしてデリバティブを軸にした次の成長線が見え始めている点だ。
投資家が今後見るべき論点は3つある。第1に、Q1以降の取引収益がどこまで市況依存を脱するか。第2に、USDCとstablecoin経済圏が本当に高収益の防波堤になるか。第3に、Everything Exchange とDeribit統合が「構想」から「利益成長」に変わるタイミングである。Coinbaseは依然として暗号資産市況への感応度が高いが、2026年はそれを超えて、総合的なオンチェーン金融インフラ企業として評価されるかどうかの分岐点に入っている。
Coinbase決算:取引所からオンチェーン金融インフラへの転換点
Coinbaseの2025年第4四半期決算は、表面上の「減収・最終赤字(GAAP純損失6.67億ドル)」という結果だけを見るとネガティブな印象を与えかねません。しかし、内訳やビジネスモデルの移行プロセスという視点から読み解くと、異なる風景が見えてきます。
最も注目すべき事実として、サブスクリプションおよびサービス収益が7.27億ドルに達している点が挙げられます。これは依然として最大の収益源であるトランザクション収益(9.83億ドル)に迫る規模であり、Coinbaseが「暗号資産のボラティリティに依存する単なる取引所」からの脱却を図っていることを示唆しています。特にUSDCを中心とするステーブルコイン関連収益が3.64億ドルを記録しており、法定通貨とクリプト経済圏を橋渡しするインフラとしての地位を固めつつあると考えられます。
また、GAAPベースの純損失については、暗号資産ポートフォリオや戦略的投資の時価評価損が大きく影響しています。これは会計上の数値変動という性質が強く、期末時点の現金および現金同等物が113億ドルという強固な手元流動性を維持している事実を踏まえると、企業の存続や本業のキャッシュフロー創出力に対する直接的な危機とは解釈しづらいでしょう。
結論として、現在のCoinbaseは「Everything Exchange」構想やBaseネットワーク、Deribitとの統合などを通じて、統合的なオンチェーン金融インフラへと自らを再定義する過渡期にあります。今後の四半期においては、トランザクション収益の変動だけでなく、USDCの普及状況やインフラレイヤーとしての収益成長が、同社の真の評価を分ける指標となるでしょう。
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