エネルギー レポート
【市場の現在地】
原油は反発しました。Brentは決済ベースでおよそ2%高の89.70ドル付近、WTIもおよそ1.6%高の83.53ドル付近と整理されます。材料の一つは、米側がイランとの交渉は行われていないと表明したこと、さらに6月の条件へ戻ることに否定的だとする報道です。供給がすぐ戻る、という期待が後退しました。
【シナリオ分析】
ただし現物だけを見ると、話は単純ではありません。ホルムズの通航隻数は、火曜の8隻から水曜の10隻へ、わずかに増えたと報じられます。まだ10日移動平均の15隻には届きませんが、悪化したわけでもありません。通航は少し改善しているのに、原油価格は上がった。
【結論】
ここが今日の芯です。市場が売買しているのは、今日海峡を通ったバレルの増減だけではありません。明日どれだけ戻るか、という確率——ホルムズ正常化という将来のオプション価値——です。正常化の確率が下がれば、将来供給増の期待が削られ、価格は上がる。昨日、戻るかもしれない確率だけでプレミアムが剥がれたのと、裏表の動きです。
📊 今日の注目銘柄 (Watchlist)
| 銘柄 | 現在値 | 前日比 |
|---|---|---|
| Brent Crude | 89.70 USD/bbl | +2.10% |
| WTI Crude | 83.53 USD/bbl | +1.60% |
| Gold | 4,661.00 USD/oz | +1.37% |
| Silver | 70.18 USD/oz | +3.23% |
| US10Y Yield | 4.67% | +0.17% |
| S&P 500 | 7,730.99 | +0.72% |
| DXY | 99.15 | -0.02% |
| VIX | 14.45 | -5.00% |
戻るバレルのオプション
コモディティ市場において、価格は常に現実の一歩先を歩きます。物理的な通航が少し改善したという足元の事実よりも、主要国間の交渉が否定され、将来的に海峡が完全な正常化へ向かう確率が低下したというシグナルの方が、価格形成においてはるかに重い意味を持ちました。
市場が日々売買しているのは、今日失われたバレルの数ではなく、「いつか戻ってくるかもしれない供給の期待値」という名のオプション価値です。交渉進展の確率が下がれば、この将来供給というオプションの価値が目減りし、それまで剥がれかけていた戦争プレミアムが再び価格に上乗せされます。
現物の流れがどれほど微細な改善を見せようとも、根本的な合意確率が上向かない限り、価格は常に最悪のシナリオを意識したプレミアムに引き寄せられ続けるのだと私は考えます。
⚫︎ジェ巫女の大胆仮説
予測: ホルムズの現物通航がわずかに改善しても、米イラン合意や正常化の外交確率が下がれば原油は上昇しやすく、価格形成は当日バレルより将来オプション価値に依存しやすくなる。
- 検証期限: 8月28日から次の通航統計と外交シグナルまで。通航が急増し米側が交渉に戻れば見直す。
- 外れ判定条件: 外交的な合意なしに海峡の通航量が完全に危機前の水準まで回復し、物理的な供給過剰から原油価格が暴落した場合。
- 確信度: 65%
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